出棺・火葬・忌中引き

イメージ=出棺

出棺

葬儀・告別式が終了すると、棺は火葬場へ向かうために祭壇から下ろされます。遺族は、出棺前に故人と最後の対面をして別れを告ます。

このとき「別れ花」といい、棺のなかに生花を棺の中の遺体の周囲に納めます。また、故人の愛用していた品物を納めたいという希望があれば申し出ます。

そして、対面後は棺のふたを閉じ、「くぎ打ち」の儀式を行います。これは血縁の近い順に、棺の頭の方から小石で2〜3回ずつくぎを軽く打っていくもので、小石は「三途の川原の石」を意味し、故人があの世で迷うことなく三途の川を渡るようにとの願いが込められていると伝えられています。

また、出棺にあたっては、喪主が位牌を持って先頭に立ち、次に喪主の妻、あるいは血緑の近い人が遺影を持って並び、一般的には、遺体の足の方を先にして霊柩車に運びます。その際、遺族は霊柩車周辺で出棺を見送っている会葬者に挨拶をし、喪主あるいは身近な近親者が霊柩車に乗り込んで先頭を進みます。これに続く車には、僧侶、血縁の近い順に乗ります。

火葬

火葬許可証・埋葬許可証

火葬場に行く際には「火葬許可証」を忘れず持参しましょう。その後「埋葬許可証」が発行されます。

現在、火葬場まで行く人は、遺族、近親車、特に親しい友人知人、世話役と、ごく限られた人。遺族が持つ位牌、遺影、花などは、火葬場までの時間を考慮して、葬儀社のスタッフの指示に従うとよいでしょう。

また、火葬場では、死亡届を役場などに提出した際にもらう「火葬(埋)許可証」が必要となります。通常、火葬許可証は通夜の前に遺族か葬儀社のスタッフが代行して提出することが多いようですが、提出後は日時が記入され、遺族に戻されます。

さらに、火葬後には「埋葬許可証」が発行され、これは納骨の時に必要です。5年間の保存義務があり、紛失しても再発行はされないので大切に保管してください(※万一紛失した場合は、警察に届け出て紛失証明書をもらいます)。

火葬場に到着したら、ただちに係員(管理事務所)に手渡し、棺は火葬山場の係員や葬儀社のスタッフによって火葬炉の前に安置されます。さらに、そこに位牌と遺影などを飾って祭壇をしつらえ、僧侶が同行している場合は最後のお経をあげてもらい、喪主から順に全員で焼香します。これを「納めの式」あるいは「斂葬」と言います。

その後、火葬には1時間前後の時間を要するので、遺族などは控室で待機することになります。その際、控室での席順はあまりこだわりませんので、故人の思い出話などをして火葬が終わるのを待ちましょう。出棺が11時であれば、ちょうど昼食時になりますので、世話役は茶菓子や弁当、酒などを用意してもてなします。

係員から火葬終了の連絡を受けたら、遺族は控室から退出し、世話役は部屋の後片付けをしてから遺族に続いて収骨場所に向かいます。なお、世話役が遺族に代わって霊柩車やバスの運転手などに心づけを渡すこともあります。その場合はあらかじめ不祝儀袋、あるいは白い封筒に「志」と○○家と表書きをしておきましょう。

収骨場所では、遺族一同が火葬炉の前に集まり、「骨拾い」「灰よせ」とも呼ばれる「骨あげ」を行います。

骨あげの順序などは地域によって若干異なりますので、係員の説明に従って行いましょう。一般的には足の骨から順に、腕、腰、背と上半身に移り、最後に頭骨、のど仏を拾って骨壷に納めるとされています。収骨の方法は地方により異なる場合がありますので、どのように拾うかは係員の指示に従うようにするとよいでしょう。

その際、用意されている竹の箸を持ち、1〜2片拾ったら箸を次の人に手渡して交代し、遺族・会葬者全員で行います。ただし最後ののど仏は喪主が拾い、骨壷の一番上に置いてふたをします。

最近は、生前に自分の好みの骨壷を購入するのも流行のようですが、その場合は先に葬儀社に連絡しておきましょう。その後骨壷は白木の箱に納められて喪主に渡されますので、喪主は両手で抱えるように持ち、祭壇から位牌と遺影を降ろして帰宅します。

なお、遺骨を遺族間で分骨する場合は、あらかじめ葬儀社に伝えておくと葬儀社の方で分骨用の骨壷や骨袋を用意し、骨あげの際に指示をしてくれるのでそれに従います。

忌中引き

骨あげ法要・取り越し法要

火葬終了後は、自宅や斎場に戻って入口で身を清め、「取り越し法要」を行うのが一般的です。

出棺を見送った後は、「骨あげ法要」と呼ばれる還骨勤行の読経のために、自宅の祭壇が葬儀社のスタッフによって取り替えられます。その際、自宅または斎場に残った人は、香典や会計などの精算をし、通常は玄関や入口に水と塩を用意して、遺骨を迎える準備をします。

火葬場から戻った人は、その水をひしゃくで両手にかけ、塩を胸のあたりと背中にひとふりし、身を清めます。そして最後に、戻って来た方角に向けて塩をまきます(※浄土真宗の場合は行いません)

そのようにして遺骨を迎えたら、後飾りをした祭壇に遺骨を安置し、ろうそくと線香を灯します。その際火葬場まで僧侶が同行した場合は、一緒に戻り「骨あげ法要」をつとめますが、この遺骨を迎えて初めて読経をあげることを「還骨勤行」と言います。

また、この時に初七日法要や三十五日法要、四十九日法要を合わせて「取り越し法要」を行いますが、ここでは葬儀委員長、世話役、遺族が参列して、僧侶による読経と焼香をつとめます。取り越し法要への参列者は、ひき続き行われる忌中引きの出席者にもなりますので、喪家側と世話役は事前に人数の確認と、忌中引きの手配もしておきましょう。

さらに、取り越し法要が始まる前には、葬儀を手伝ってもらつた会計係か総務係から遺族への事務の引き継ぎも行います。その際に遺族は、香典、香典・供物の控え帳、弔電・弔辞、会葬者名簿、会計帳簿と残金、領収証を受け取ります。これらは税金の申告や礼状を出す時など、後日も必要になる大事なものですから、葬儀が済んだ後もきちんと保管しておきましょう。

忌中引き

僧侶には事前に出欠の確認をしましょう

今では「忌中引き」というところが多くなっていますが、土葬の時代は葬儀の翌日か初七日に、火葬の時代は火葬場から戻ってから、お世話になった世話役や近所の方を招いて、それまでの労をねぎらう「精進落とし」を行います。

そのため、葬儀委員長、世話役の順で上座に、遺族、喪主は下座に座るのが基本。僧侶が出席する場合は最上席に案内し、会食に入って少したってから(15〜20分くらい)「御布施」「戒名料」などを渡します。僧侶の都合で、忌中引きの席を辞退された場合は、還骨勤行や取り越し法要の後に別室で挨拶をして、上記のものと「お膳料」「お車科」などを渡しましょう。

一同が席に着いたら、喪主が接拶した後、葬儀委員長や世話役などを接待してまわり、出席者は故人の思い出を偲びながら会食をします。最近では、地域によってはこのような席を設けず、簡略化して、箱詰めの土産物(食料品と酒やジュースの詰め合わせ)や折り詰め膳と引物が遺族から出席者に手渡されるケースも増えていますが、この場合は受け取ってすぐ帰ることになります。

また、忌中引きに、香典とは別に改めて「志」を包むこともあります。

後飾り・中陰飾り

自宅には、仏壇とは別に「後飾り」を準備。後日訪れる弔問客はここでお参りを

忌中引きが終わって世話役や葬儀委員長が退出した後に、遺族が遺骨、位牌、遺影を持って帰宅します。自宅では、仏壇とは別に「後飾り」あるいは「中陰飾り」と呼ばれる祭壇を準備しておきます。

後飾りは、台の上に白布をかけ、遺骨、位牌、遺影を安置し、燭台(ろうそく立て)、香炉(線香)、花を飾り、忌明け(四十九日)まで毎日灯明をつけて線香をあげ、故人の冥福を祈ります。

仏壇にも毎日灯明、線香、水、ご飯などをあげますが、後日弔問に来た方のお参りは後飾りの祭壇で行います。

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