葬儀後〜手続き〜遺産相続〜遺言〜納骨

イメージ=納骨

葬儀後

葬儀後にはご挨拶なども含め、故人の名義であるすべてのものを相続人名義に変更しなければなりません。

中には以外と見落としやすいものもあり、保険金給付金に関することも含めて葬儀後には確実に手続きをしましょう。

引き継ぎ

引き継ぎは精進落としの会食前にすませておきましょう。葬儀でお世話になった方達を責任から解放し、ゆっくりくつろいでもらうためにも、引き継ぎを早くすませる心配りをしましょう。

引き継ぐ内容

  1. 香典
  2. 香典帳・供物帳
  3. 弔問者名簿(ご芳名帳)
  4. 弔辞・弔電
  5. 会計書類(買い物明細、納品書、領収書、請求書)
  6. 残金

葬儀費用は控除される

葬儀にかかった費用(葬祭業者への支払い、寺院などへの謝礼、通夜その他の雑費など、葬儀当日までの支払い分)は、遺産の相続税から債務として控除されます。

ただし、以後の法要の費用や、香典返し、墓地や仏壇の購入費は含まれません。

挨拶回りは早いうちに

葬儀でお世話になった人たちには、できるだけ早いうちに、喪主が自身で挨拶に出向きましょう。その範囲は故人の恩師や上司、葬儀委員長などの目上の人や葬儀の世話役代表と世話役の人たち、町内の役員の方など。

また、自宅で葬儀をした場合は、弔問客の出入りなどで迷惑をかけた隣近所にもお詫びを兼ねて行くとよいでしょう。故人や遺族の勤務先の同僚や部下が葬儀を手伝ってくれた場合は、勤務先に出向いて挨拶をしてもよいでしょう。相手が遠方に住んでいる場合は、忌明けに礼状を送りましょう。

香典返し

香典へのお礼として品物を贈ることを香典返しといいます。

本来、香典は葬儀の費用を相互扶助し、遺族の負担を軽くするための意味があり、返礼は必要としないものでした。本来の意味が薄れるとともに、故人に代わって遺族がお礼の品物を贈る習慣が定着しました。

最近では、忌明けを待たずに、葬儀当日に香典返しをする「即日返し」が増えています。

団体名義の香典には

故人の勤務先や所属団体名義の香典には、基本的には香典返しをする必要はありません。

ただし「○○課一同」など、所属単位でまとめて香典を受け取った場合は、ビール券などでお礼をするとよいでしょう。

葬儀の礼状・挨拶状

葬儀を行ったときは、さまざまな人にお世話になったり、心づかいをしてもらうことになるので、そのことに対する感謝の気持ちを込めて礼状を出すとよいでしょう。

葬儀に関する礼状を出す時期は、仏式では命日から四十九日以降、神式では五十日目以降に。忌明けの挨拶を兼ねて送るのが一般的で香典返しも同じ時期となるので、会葬への礼状を添えて送るようにしましょう。

香典返しをしない場合は、その理由を書き添えた会葬礼状を送るのがマナーです。また、初七日、五七日などに香典返しとともに礼状を送る習慣がある地域や、当日即日返しの時に、会葬礼状を渡すこともあります。

遺品整理と形見分け

故人の遺品の整理は急いで行う必要はありませんが、勤務先などに置かれた私物はなるべく早く引き取りに行くのがマナー。葬儀後の挨拶回りの機会に、各種事務手続きと一緒に遺品の整理をしてくるとよいでしょう。

形見分けは、故人の親族や親しくしていた人たちに、故人の遺品を記念品として贈るならわしをいいます。形見分けは仏式では三十五日、または四十九日、神式では五十日祭の忌明けの頃、キリスト教ではとくに決まりはありませんが、1ヵ月後の命日に行われることが多いようです。

形見分けは故人の愛用品を贈るので、近親者やごく親しい友人など、故人に対する思いの人たちに限られ、目上の人には基本的には形見分けはしないものとされています。

品物を渡す時は包装しないか、奉書紙で包む程度で、受けた方は例え高価な品物であっても礼状を出さないものとされています。
尚、高価な品物は相続の対象になり、相続が確定する前に形見分けをすることは出来ません。

手続き

勤務先での事務手続き

厚生年金遺族給付請求手続き、健康保険葬祭料の請求手続き、団体生命保険、退職金、社内預金などの手続き、必要であれば労災保険の手続き、身分証明書などの返却、故人の私物があればこのときに整理して引き取りましょう。

名義変更・給付金等の手続き

故人の死後には、さまざまな名義変更の手続きが必要になってきます。とくに、故人が世帯主であった場合、住民票、電気、ガス、水道、電話などは、葬儀を終えたらなるべく早く名義変更しましょう。

預貯金や不動産、株式、生命保険、自動車などは、故人の死亡直後から相続人全員の共有財産となり、相続が確定してからでないと名義変更をすることはできません。銀行、郵便局などの預貯金は、名義人が死亡すると相続財産となります。

金融機関は名義人の死亡を確認した時点で口座取引を停止するので、キャッシュカードでも窓口でも、口座から現金を引き出すことはできません。その場合、金融機関に葬儀費用である旨を申し出ると、通常150万円を上限として引き出しに応じてくれます。手続きには書類や保証人などが必要なので、詳しくは各金融機関に問い合わせて確認をしましょう。

返却しなければならないものとして、故人の健康保険書、年金証書(手帳)、運転免許証、クレジットカード、パスポート、身分証明書、インターネットの会員資格などがあります。特にクレジットカードや各種会員資格は、悪用されたり、会費が引き落とされ続けたりするおそれがあるので、早めに手続きをすませるようにしましょう。

埋葬料・葬儀料の受給手続き

故人が健康保険組合や共済組合の健康保験、国民健康保険の加入者であった場合、葬儀費用として一定の金額が支払われる制度がある。いずれの場合も、手続きには2年という期限が定められているので、なるべく早く手続きを行いましょう。

健康保険組合や共済組合の埋葬料
支給額 被保険者が業務外の事由により亡くなった場合、亡くなった被保険者により生計を維持されて、埋葬を行う方に「埋葬料」として5万円が支給されます。
埋葬料を受けられる方がいない場合は、実際に埋葬を行った方に、埋葬料(5万円)の範囲内で実際に埋葬に要した費用が「埋葬費」として支給されます。
また、被扶養者が亡くなったときは、被保険者に「家族埋葬料」として5万円が支給されます。
支給先 加入者に扶養されていた人
手続き 勤務先の健康保険組合、または社会保険事務所
必要書類 健康保険証・死亡を証明する書類・葬儀責用の領収書など・印鑑
手続き 加入者の扶養家族が死亡した場合は、家族埋葬料として10万円が支払われる
国民健康保険の葬祭料
支給額 2万〜7万円くらい
支給先 葬儀を執り行った人
手続き 市区町村投場の国民健康保険課
必要書類 国民健康保険証・死亡診断書・葬儀費用の預収書・印鑑
手続き 金額は市区町村によって差がある

労災が適用される場合

労災が認定された場合は、労災保験から補償年金と葬祭料が遺族に支給される。その場合、健康保険組合からの埋葬料は支給されない。

  • 補償年金
    遺族に支給される。給与基礎日額(労災の発生時から過去3カ月問の総賃金を総日数で割ったもの)の153〜345日分。
  • 葬祭科 
    葬儀を執り行った人に支給される。30万円プラス給与基礎日額の30日分、または給与基礎日額の60日分。

高額医療費の払い戻し

長期の療養などで、健康保険や国民健康保険を利用した医療費の故人の自己負担額が一定額を超えた場合、その分が払い戻される。通常は、支払いから2〜3ヵ月後に保険の事務係から通知が来るので、手続きをするとよい。

国民健康保険は市区町村の国民健康保険課、それ以外の健康保険は健康保険事務所か社会保険事務所が窓口。

生命保険と年金の手続き

生命保険

故人が生命保険に加入していたら、保険金の支払い請求手続きをします。生命保険金は基本的には支払い請求をしないと受け取ることはできません。

保険会社では手続きの期間を2〜3年以内としているケースが多いにで、期間内に手続きをしないと、保険金を受け取る権利が失われてしまうことがあります。葬儀から1カ月くらいをめどに、早めに手続きをするとよいでしょう。

死亡保険金請求書は保険会社に、被保険者(故人)の氏名と死亡日、生命保険証番号などを伝えて取り寄せます。

死因が事故や自殺などの不審死の場合は、通常必要な書類に加えて、警察の事故証明や死体検案調書、事故を伝えた新聞記事、保険会社所定の死亡診断書などの提出を要求されることがあります。

必要な書類(詳しくは加入している保険会社に問い合わせましょう)

  • 死亡保険金請求書(保険会社から取り寄せ)
  • 生命保険証書
  • 死亡診断書
  • 保険料の最後の領収書
  • 故人の除籍抄本、住民除票
  • 請求者の印鑑証明と印鑑
  • 請求者の戸籍謄本

住宅ローン

住宅ローンなど金額の大きなローンには、一般に生命保険がついている(ローン返済中に契約者が死亡した場合、残りのローンは保険金から完済されるようになつている)のが一般的です。

年金

故人が国民年金や厚生年金に加入していた場合、年金受給権者死亡届を地区の社会保険事務所、または市区町村役場の年金課に提出しなければなりません。故人がすでに年金の給付を受けていた場合は、手続きをしないでいると、そのまま本人が生きているとして年金が支払われることになります。遺族がそれを受け取っていると、間違いが判明した時点で、受け取った分をすべて一括して返還しなければなりませんので、手続きは必ず行いましょう。

故人が一家の生計を支えていた場合、一定の条件のもとに遺族に年金が支給されます。支給対象や支給方法は複雑なものなので、遺族は地区の社会保険事務所や市区町村役場の年金課に故人の死亡届を出す際に、自分のケースを説明して教えてもらうとよいでしょう。遺族年金は届け出制のため、手続きをしなければ支給されません。

必要な書類

  • 死亡診断書、戸籍抄本など死亡を確認する書類

個人年金

積立金の元本や利息が年金として支給される貯蓄型個人年金の場合は、遺族は故人(受取人)の死亡後、名義変更の手続きをします。

保険型の個人年金の場合、年金受け取り中に死亡すると、確定年金なら残りの支払い期間に応じた金額が遺族に支払われます。終身保険は保障期間内でなければ打ちきられます。

遺産相続

故人の財産を受け魅ぐことを相続といいます。相続財産が一定額以上である場合、相続人は相続税をおさめなければなりません。

相続の内容は、故人の遺言がある場合とない場合で異なるので、遺族はまず遺言の有無を確認する必要があります。

故人の遺言がある場合は、それにしたがって遺産相続を行うのが原則。ただし、どのような遺言内容であっても、故人の配偶者と子どもは一定の割合で相続分が基本的には認められています。これを遺留分といいます。

遺言がない場合は、民法に定められた法定相続人が遺産を相続し、法定相続人は故人の配偶者と子ども、子どもがいない場合は親、親がいない場合は兄弟の順位になります。法定相続人が同じ順位で複数いる場合は、法定相続分の割合にしたがって遺産を分割。

故人の遺産には、プラスの資産として預貯金や不動産、美術品、自動車や骨董品、人にお金を貸した債権、借地権が含まれ、マイナスの資産、故人に借金があればその債務なども相続の対象となり、相続することになります。

相続財産の合計から非課税となる財産、葬儀費用、債務などを差し引き、さらに法定相続人の人数に応じて一定の基礎控除額を差し引いたものが、課税遺産額となります。遺産額が基礎控除額の範囲内であれば、相続税は課税されません。

また、美術品や骨董品など、価値のわかりにくいものは、専門家に鑑定してもらい、評価額を算出してもらうとよいでしょう。

故人の所得税はどうなる?

故人が死亡した年の1月1日から死亡日までの所得は、相続人が故人の住所地の税務署に申告し、納付することになります。

申告、納付の期限は死亡日から4ヵ月以内。納税額は相続人の相続財産から債務として控除されます。

必要な種類

  • 源泉徴収票
  • 控除される医療費、保険料などの証明書や領収書
  • 申告者の身分証明書など

遺言

死後の遺産相続について生前に遺志を書き残しておくのが遺言。遺言がないと、遺産は法定相続人によつて民法で定められたとおりに分割されます。法定相続人間でトラブルが発生しそうな場合や法定相続分とは違う割合で相続させたいとき、また、法定相続人以外にも相続させたい場合や、反対に法定相続人ではあるが相続をさせたくない場合などに、遺言が効力を発揮します。

故人の遺志が確実に実行されるように、法 律では遺言の形式を定められていて、その形式に 沿わないものは遺言として認められないこと もあるので、気をつけましょう。

法律上、遺言ができる年齢は満15歳以上で内容は由由。ただ、法的に効力があるのは、子どもの認知や後見人の指名などの身分に関することや遺産の相続分、遺贈の特定、遺産の分割方法などに関わる問題に限られています。

遺言書の種類

自筆証書
遺言
遺言の内容、日付、住所、氏名を自筆して捺印する。書式や用紙は自由。証人も不要。秘密にしたまま作成できるが、紛失したり、発見されなかったり、故意に隠されたりする危険がある。書式がととのわず、無効になることが多い。
公正証書
遺言
口頭で述べた遺言内容を公証人が筆記して、二人の立会人の確認のもとで作成される。原本が公証人役場に保存されるので最も確実な方法といえる。
秘密証書
遺言
遺言の内容を秘密にしながら、遺言があることを示すことができる。遺言者がその遺言を自発的意思によつて作成したことを、公証人と二人の証人によつて証明してもらい、遺言の存在を公簿に記載してもらうという手続きになる。自筆証書遺言と公正証書遺言の中間にあたるもの。公正証書遺言と秘密証書遺言は手数料がかかる。

納骨

納骨は本来は遺骨を納骨堂におさめることですが、現代では墓におさめる「埋葬」の意味も含んでいます。墓地や墓を新たに用意する場合は、それまで骨壷を自宅に安置したり、寺院の納骨堂に一時的に預かってもらいます。

仏式の納骨は四十九日や一周忌などの法要に合わせて行うのが一般的。神式では十日祭から五十日祭までの、10日ごとの霊祭の日に埋葬祭を行うことが多い。キリスト教式では葬儀当日か命日が選ばれます。

仏式では墓に骨壷をおさめ、僧侶が読経をし、参列者が焼香をする。多くの宗派では納骨や法要に際して墓の後ろに、戒名、経文、施主名などを書いた卒塔婆(そとば)と呼ばれる木の板を立てるので、遺族は前もって僧侶に頼み、用意してもらいます。卒答婆は遺族以外も立てることができます。

神式では神官による修祓、祭詞奏上があり、玉串奉奠を行います。

キリスト教式では葬儀の日に埋葬するのが本来のしきたり。埋葬式は、牧師または神父の祈頑、賛美歌または聖歌合唱をします。

式後は、参列者の労をねぎらうために軽い会食などの席を設けるのが一般的です。

納骨には、死体火(埋)葬許可申請書が必要なので忘れることのないようにしましょう。

永代納骨

一時的に骨壷を預かってくれる納骨堂とは別に、最近増えているのが永代供養をしてくれる納骨堂。高額で入手が困難な墓地に比べて、料金が比較的割安なため、利用者が増えているようです。

寺院が営むもの、民営のもの、ロッカー形式のもの、仏壇形式のものなどいろいろ。

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