葬儀の形式

 葬儀を出すことになったとき、まず大切なのはその形式を決めること。
 葬儀は宗教に基づいて執り行われるものと、そうでないものに大別されます。また、通常の葬儀を私的葬儀とすれば、故人が所属した団体などが執り行う公的な葬儀にあたるのが、社葬や団体葬となります。

宗教に基づく葬儀

◆仏(教)式葬儀
 日本では最も一般的で、葬儀全体の94%を占めるといわれる。ただし、仏教にもさまざまな宗派があるため、葬儀の形式や内容は一定ではありません。「祭壇を作る、僧侶が読経を行う、焼香という形式の礼拝をする」が共通の項目です。
◆神(道)式葬儀
 神葬祭と呼ばれ、日本土着の祖霊信仰である神道の教義にしたがって行われる。
◆キリスト教式葬儀
 カトリックとプロテスタントに大別される。結婚式と違って、信者だけに行われる。

無宗教の葬儀

 特定の宗教に基づかないで執り行われる葬儀。内容は、通夜(前夜祭)的な集いと告別式、その後の法要的な集いで構成されるのが一般的。無宗教の葬儀は、故人を音楽で送る「音楽葬」、友人たちが集う「友人葬」など、故人の人柄や職業、個性を反映するものであることが多い。

社葬・団体葬

 故人が、所属した会社や団体に対して大きな功績があったり、また在職中に亡くなった場合などに行われる。
 喪主(遺族)の了解のもとに、会社や団体の役職者が葬儀委員長を務め、葬儀をとりしきる。基本的には葬儀・告別式のみを行うことが多い。
 社葬・団体葬は亡くなつてから数週間の準備期間をおいて行われるため、それ以前に通常の形式によつて私的な葬儀が行われるのが一般的。

密葬と本葬

 故人や遺族の意思で近親者など少数の関係者だけで行う葬儀を密葬と呼ぶ。また、亡くなったのが年末年始などで、広く知らせて葬儀を行いにくいときに、とりあえず遺族、近親者、友人などで行う葬儀も密葬という。その場合は、一定の期間を過ぎてから、あらためて通常の葬儀を本葬として行うことが多い。

葬儀の新しい形式

◆自然葬
 既成の墓地への埋葬を行わないことを主眼にしたもの。遺灰や遺骨を山や河、海にまく「散骨」が、そのおもな方法となる。ただし、水源地になつている山間部など、散骨にふさわしくない場所もあるので、実施にあたっては十分な注意が必要。
◆生前葬
 生前に自分で自分の葬儀を主催するもの。基本的には無宗教の葬儀に含めることができる。
◆自分葬
 葬儀そのものの形式ではないが、あらかじめ自分の葬儀をどのようにしたいかを計画し、それを忠実に実行してくれる機関などと生前契約を結ぶ。葬儀だけではなく、没後のさまざまな手続き、作業、遺産の処理、ペットをどうするかまでと範囲は広い。
 故人に特定の信仰がない場合は生家の信仰や宗旨にしたがって葬儀が執り行われます。もし故人の信仰と家の信仰が異なる場合は、故人の信仰を優先します。故人が無宗教や自由な形式での葬儀を希望していた時は故人の遺志を尊重します。

二人使い

 死亡の連絡を受けた町内会長などは、近隣の家々にもその旨を連絡しますが、かつては必ずその役目を大人の男性二人が行いました。これは「知らせに手違いがあってはならい」「一人で歩くと死霊に引かれる」との俗信から生まれた習俗ですが、このことを『二人使い』や『ツカイ』と称しています。
また、以前は死の知らせをする場合には、「昼間でも提灯を灯して行く」「刃物を懐に入れて行く」などの習俗が全国的に分布していましたが、昭和50年代になって電話が家庭に普及したため、近年では『二人使い』の習俗が薄れてきています。

●葬儀の形式や規模が決まったら、見積書などを出してくれる信頼のおける葬儀社へ依頼しましょう。

 身近な人の「死」に直面した家族や近親者は悲しみの中にありますが、遺族はその中にあっても葬儀の形式や規模、予算などを相談し、葬儀社の手配をしなければなりません。葬儀の形式は、一般的には故人の生前の希望がなければ仏式、神式、キリスト教式など、その家の宗教で行いますが、最近は故人の遺志で無宗教の葬儀も多くなっています。規模については、故人あるいは喪主の社会的立場や交際範囲、遺言、遺族の意向などを考慮して、会葬者の数や予算を概算して決定します。会場としては宗教上の制限の有無、収容人数、使用時間の制限の有無、宿泊施設、寝具類の有無、棺を預かってもらえるかどうか、忌中引き料理とその手配先の有無、駐車場の有無と広さなどを十分考慮したうえで選ぶようにしましょう。このほか、公共の会舘や集会場などの施設、菩提寺、自宅で執り行うこともあります。菩提寺で行う際には、遺族と葬儀委員長、葬儀社がお寺に出向いて、お寺から借りるものと葬儀社で用意するものなどを確認しなければなりません。
 信頼できる葬儀社を選ぶためには、身近な葬儀経験者に尋ねたり、見積書や概算予算書などを出してもらうとよいでしょう(※病院から自宅に遺体を雑送してくれたり、見積書を依頼した葬儀社に、必ずしもその後の葬儀一切を任せなければならないということはありません)。通夜・葬儀にかかる費用は、祭壇、御布施、戒名料、通夜・葬儀中の遺族や世話役の飲食費、霊柩車代、引物、会葬御礼品などがありますが、おおまかには●葬儀社への支払い、●寺社教会への御礼、●会葬者への香典返しや飲食費などの諸雑費です。
 また、葬儀の日取りが決まったら、まだ死亡を知らせていない近親者や友人知人にもできるだけ早く訃報の通知をします。職場には直属の上司に、学校には担任の先生に、近所には町内会長などに、日取りとともに喪主の名も告げて連絡をお願いしましょう。さらに故人の社会的な立場や、交際範囲の広さから連絡先が多い時には、新聞紙上に「死亡広告」を出すこともあります。その場合は、通夜・葬儀当日の朝までに掲載されることが必要です。このほか、とりあえず近親者で密葬を済ませて後日に本葬を行う場合や、故人への生前の厚誼に対して感謝の意をあらわす場合などには「死亡通知(状)」を出すこともあります。
 このほか、遺族が用意するものとしては祭壇に飾る遺影用の写真があれりますが、通常写真はできるだけ最近のもので、正面を向いた自然な笑顔のものが使われます。故人が前もって用意していたものや気に入っていたものがあればそれを使います。葬儀社に依頼すると、遺影の服装を変えることもできますし、故人らしい雰囲気が出ていれば、カラーでも、モノクロでも、どちらでも構いません。

友引き

 通常は死亡の翌日に通夜を、翌々日に葬儀・告別式を執り行い、その後火葬をしますが、「死者が親しい人の魂を引き寄せる」という俗信から、火葬には友引の日を避ける傾向も根強く残っています。そのため、葬儀の前に火葬をしたり、また、火葬する日を延ばすこともあります。
 市町村によっては、友引の日は火葬場そのものが休みのところもありますので、葬儀の日取りを決める際にはあらかじめ確認するようにしましょう。